車やバイクって必要ある?

俺が持っている運転免許っていうのは、原付免許だけである。それを取ったのは40才の時。まあ、人から見れば、そ~と~に遅い部類だと思う。

なんで俺がそこまで免許を取らなかったかというと、理由は簡単、「必要なかったから」。まあ、運転免許なんてのは、高校卒業して春休みとか、大学時代に取るのが普通だと思う。しかし俺の場合は、高卒即就職でそんな時間的余裕がまったくなかった。特に自動車免許取るとなると、1ヶ月ぐらいは時間がないといけない。でも、当時の俺は無茶苦茶忙しかったので、その1ヶ月がどうしても取れなかった。その後、フリーになって時間の余裕はできたのだけど、今度は金がない。世の中ってのは、なかなかうまくいかないものだ。

それに運転免許が必要なかった理由として、東京に住んでた、ってのもある。東京って交通網が発達してるので、どこか行きたいとなると電車や地下鉄で事足りる。特にあっちは交通渋滞がデフォなので、下手に車なんかで動くより、電車の方が速いし時間も正確。田舎の人間の感覚だと「急ぐときはタクシーに乗る」っていうのがあるけど、東京じゃタクシーなんかに乗ると、なかなか着かない。それと自動車とか持っちゃうと維持費がかかる。まず馬鹿みたいに高い駐車場代が必要だし(月に3万とかだったら、田舎だと部屋借りれちゃうって)、ガソリン代も必要。車検だなんだで追加チャージも取られる。ハッキリ言えば東京で車持てるってのは、かなり裕福な人だと思う。それに俺は東京から松山まで自転車で走ったほどの自転車マニアだったから、近距離の移動には自転車があれば十分だった。バイクだとガソリン入れないと走らないけど、自転車ならそんなモノは要らない。だから、ホント~に、運転免許は必要なかったわけ。

最近、車やバイクが売れね~って話をよく聞くけど、そら、都会ではそんなモノ、必要ないもの。それどころか、金がかかって仕方ねえじゃん。若い連中とかって金持ってないんだし、しかも必要を感じなけりゃそんなモノは要らない。若い時期に車を趣味に出来るのは、地方の人間が多いと思う。だって、頭文字Dだって話の舞台は首都圏近郊じゃん。拓海なんて家の商売用の車(大昔のトレノ)で走ってるし。湾岸ミッドナイトは都心部走ってるけど、そのためアキオなんて高校留年してディスコでバイトばっかりしてる。Zだって解体屋で雨ざらしになってたのを拾ってきた。まあ、若いヤツに車やバイク買って欲しいんなら、もっとそれが必要な環境や状況にならないと無理だよね。昔と違って、そんなモノ以外に楽しめるモノや趣味は、いっぱいあるんだから。車やバイクにノスタルジーを求めるのもいいけど、そういう認識じゃ売れねえと思う、個人的には。

原付免許取得

40才過ぎて、故郷の松山に帰ってきたわけなのだけど、そうなると、ど~しても運転免許が必要になった。田舎ってのは、どこか行こうと思うと、電車やバスなんかじゃやってられないんだよね。自転車でも距離が遠いと、ど~しようもない。

で、俺としては「人間一人動くだけなら、原付で十分だろ」と思ってた。よく3円安い大根買うために郊外のスーパーに車で買いに行く、なんて人がいるけど、そんなのバカバカしい限り。自動車って、1人が動く乗り物としてはコストが高すぎる。だから大排気量のバイクなんてのも、軽自動車並のガソリンばらまいて人間一人しか移動できない、なんてのは、コストとして考えたら、あまり利口な方法とは言えないと思う。俺個人として許せる限度ってのは、せいぜい原付。別にエコを気取るわけではないのだけど、金ってもっと有効に使った方がいいじゃん。

ってわけで、勝岡町にある免許センターに原付免許取りに行った(「(都道府県名) 免許センター」でググれば、住んでるとこの免許センターの場所が分かると思う)。原付免許の試験って毎日やってるからね。原付免許を取るには、次のような条件とモノがいる。

原付免許取得の資格

  • 16才以上であること。

原付免許で乗れるモノ

  • 排気量50cc以下の原動機付自転車(原付1種)*1

身体的条件

  • 視力検査 両目で0.5以上、視野角が150度以上(メガネなどの使用可)
  • 色彩識別検査 信号機に使用されている、赤・青・黄色を識別できること
  • 聴力検査 90ホンの大きさの音が10m離れた所で聞き取れること(補聴器などの使用可)
  • 運動能力検査 指・手足・腰などの身体機能に障害がないこと

(身体的条件を満たさない場合、免許センター内の適正相談窓口で相談ができる)

原付免許取得に必要なモノ

  • 住民票1通 (発行後6ヶ月以内で本籍地の記載のあるもの)
  • 顔写真 (撮影後6ヶ月以内でタテ30mmヨコ24mmのもの)
  • 印鑑(認め印で可)
  • 筆記用具(HB以上の鉛筆、ボールペン、消しゴム等)
  • 費用 7,450円 (試験手数料1,650円+交付手数料1,750円+原付講習料4,050円)
  • メガネやコンタクトレンズ(視力矯正が必要な人の場合)、または補聴器(聴力矯正が必要な人の場合)
  • 運動靴(合格した時に実技講習で必要。草履やハイヒールでは無理)


その日の受験者ってのは30人ぐらい。まあ、高校出たてぐらいのお兄ちゃん、お姉ちゃんばっかりで、俺みたいなオッサンはほとんどいない。で、原付の免許取得で一番面倒なのが、学科試験。というか学科試験さえパスすれば原付免許が手に入る。原付免許には実技試験ってないからね。学科試験ってのは次のようなモノ。

学科試験

  • 交通法規を中心とした文章問題が46問、イラストによる危険予知問題が2問の計48問が出題
  • 試験時間は30分
  • 合格ライン 出題される48問中90%以上が正解であること(配点は文章問題が1問1点イラスト問題は1問2点で45点以上が合格)


試験はマークシート方式ね。合格発表ってのは、試験が終わって約1時間後ぐらいに発表される。俺が受験した時は、合格者は俺を含めて10人ぐらい。きゃっきゃ言ってたお姉ちゃん3人組は、全員撃沈。合格率でいえば30%ぐらいかなあ。昔は50%ぐらいは受かってたみたいだけど、最近はどうも低い傾向にあるようだ。

って、そりゃ、何も勉強しないで試験受けても合格しないなんて当たり前のこと。俺も、本屋で「一発で通る原付免許」みたいな本を買ってきて(まあ、1000円もしなかったけど)、それを丸暗記して試験に臨んだ。だって原付免許ぐらい一発で取れねえって、男として恥だろ。まあ、最近ではインターネットで原付免許の学科試験のシミュレーションができるので、とりあえずこれで合格するようになってから試験を受けた方がいい。だって、試験料がもったいねえじゃん。


学科試験に通ったら、その後、原付講習がある。免許センター内で座学で講義を1時間、走行方法など実技を2時間、計3時間。昔は警察署でも原付講習やってたみたいだけど、最近ではそれは廃止になって、免許センターか教習所で受けることになっている。

走行実技に必要なヘルメットや手袋(軍手)は免許センターで貸してくれた。俺の時は実技走行で、指導員が「お前ら、ホントはもう原付ぐらい乗ったことあるんだろ」みたいな前提で話をしてた。こっちはエンジンの付いた乗り物に乗るのは、ホントに生まれて初めてだったので、ちょいとまどったのだけど、コースを2周もすればコツはつかめた。だって実技に使う原付ってのはスクーターだからオートマじゃん。スロットル回せば走るし、ブレーキも自転車と同じ。自転車乗れる人間だったら、誰でも乗れるわけだからさ。でも、それがのちのちマニュアル原付のマグナ50に乗るときにはちょい困ったことになる。

原付免許で乗れるのは排気量50cc以下の原付1種で、オートマでもマニュアルでも、どっちでもOK。*2 でも今、原付っていったらほとんどスクーター(オートマ)なんで、マグナ50のようなマニュアル原付に乗る機会はほとんどないんだよね。実技講習でもマニュアル車の乗り方なんて教わらないし。だから、もし、マニュアル車に乗りたいのなら、自分でなんとかする必要があるわけだ。

まあなんにしろ、ってわけで、40才過ぎて、俺の原付生活がスタートしたわけだ。


*1 なお原動機付自転車には原付2種(51cc~125cc)があるが、原付免許では原付2種には乗れない。乗ると「無免許」となる。つまり、51cc以上にボアアップした原付には、原付免許だけでは乗れない。
*2 原付免許がオートマ限定でないのは、多分、カブがオートマではないからだろう。と、個人的には思う