1.「眼鏡越しの空」

エロっちは眼鏡越しに空を見上げてつぶやいた。

「あ~、俺はなんで槍兵なんかに生まれちまったんだろうなあ....」

そら、闘技場ではほとんど無敵の存在である。同じ階級には敵はいない。いや、今、階級2位なのだが、チャンピオンは卑怯にもエロっちと戦おうとしない。たまに怖いもの見たさで挑戦してくるヤツもいるのだが、ほとんど瞬殺。まるで相手にならない。今では悪魔軍のリーダーである巡視悪魔ばっかり相手にしている。でも、その巡視悪魔でさえ圧勝。でも....

「どうしたの、エロっち」

ペットのミニリンが話しかけてきた。黒猫なんだけど、ものすごく頭がいい。人間と会話することぐらい、朝飯前なのだ。

「いや、実はね、俺は大悪魔を倒さないといけないんだ」
「えっ、エロっちって槍兵だろ? そんなの、絶対無理に決まってるじゃん」
「そう、それが問題なんだ」

エロっちはミニリンになんで大悪魔を倒さなくてはいけないのか話した。

「ふーん、それは大問題だなあ...」

ミニリンは、ちょっと考え込む仕草をした。そして....

「ねえ、エロっち、ちょっと顔こっち向けて」
「なに?」

いきなり、ねこパ~ンチ、そして、ガブッ!

「何するんだ、ミニリン!」
「へへw」

エロっちはミニリンをしかろうとした、でも、その時、何か身体がいつもと違うような感じがした。

「何をしたんだ、ミニリン?」
「へへ、実は、ボク、猫族の騎士だったんだ」
「えっ?」
「でも、猫で騎士なんて、ほとんど意味ないだろ? だから、今まで黙ってたんだけど、今、エロっちの槍兵とボクの騎士を交換してあげたよ」
「えっ!!!」
「だから、今日から、エロっちは騎士だよ」
「で、でも、いいのかい、ミニリン、それで?」
「だってさ、ボクはエロっちのご主人様なんだぜ? 家来が困ってる時は助けてやるのが主人のツトメ、ってもんだよw」

ミニリンは、そのまま、とことこと歩きだした。

かくてエロっちは騎士となった。

「これで、大悪魔と戦える!」

でも.....

「ネコぱ~んち!!」
闘技場のチャンプはミニリンになってしまった。あれれ、もしかして、ミニリン.....

「にゃ~!w」

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