2.「晴れたらいいね」

エロっちは闘技場英雄から戦争英雄にチェンジしたので、遠征の毎日を送っている。

今までは闘技場の実質階級トップだったのであまりうるさく言われなかったのだが、戦争英雄ともなると経験がモノを言う。兵隊だって、経験のない指揮官についていくのは真っ平ゴメンだろう。指揮官の経験があればあるほど、多くの兵隊がついてきてくれる。戦争、ってのは結局は数が勝負だ。少数精鋭、なんてカッコのいいことを言ってられるのはごく小規模なうちで、大悪魔と戦うとなると、とにかく引き連れる兵隊は多ければ多いほどいい。

エロっちは、自軍のトップ戦争英雄の島袋さんと一緒に、毎日、悪魔城狩りの遠征に出ている。こうしていると、早く経験を積みやすいのだ。島袋さんはヒューマン軍最強の部隊である、天使と一緒にいると実力を発揮するという、正真正銘の戦争英雄だ。しかも同時にエロっちとは階級は違うのだが、闘技場でも階級2位である。まさに、戦争も闘技もできる、頼れるエースといったところだ。

「ねえ、エロっち」
「なんです?島袋さん」
「エロっちって、本当にいいわよね。闘技場英雄としての素質に恵まれてるんだもの」
「えっ、だって島袋さんだって闘技場で大活躍じゃないですか」
「ふふふ、私はダメよ。だって、私の階級じゃ、素質よりも装備がモノをいうの。私が勝てているのは80%は装備のおかげ、といってもいいわ」
「そんな」
「だから、もしエロっちが私と同じ装備を着て対決したら、私は勝てないでしょうね」
「.....」
「でも、エロっち、あなた何か最近変わったわよ。昔、階級のチャンプだった時はもっとストイックな感じだった」
「今は違うんですか?」
「うん、ちょっとニヤけた感じ、っていうのかな。そんな感じに変わった」
「それだと問題なんですか?」
「ええ、だって本物の闘技場英雄ってのはストイックですもの。最下級クラスの榮倉さんを見てごらんなさい。あれが、闘技場英雄の理想でしょうね」

エロっちは、ミニリンと素質を交換したことや、なんで大悪魔を倒さないといけないのかは黙っていた。

「でも最近、島袋さん、階級上がったんですよね」
「ええ、今までの階級でやることは全部やったから」
「やること、って?」
「ふふ、私の役目っていうのは、あらかじめその階級の情報を収集することなの。どんな相手がいるか、とか、どんな装備だと勝てるか、とか、そんなことね」
「そうだったんですか」
「そう。だから、今度は次の階級の情報収集の番、ってわけ」

島袋さんはそういってニッコリ笑った。

「さあ、エロっち、ぐずぐずしてんじゃないわ、今日も悪魔城討伐にいくわよ!」
「はい、島袋さん!」

そして、あいかわらずミニリンは闘技場チャンプとして君臨しているのであった.....ってあれ?(´・ω・` )

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